「落語なんて難しそう…」
そんなあなたに、わかりやすく思わずクスッと笑ってしまうような定番落語を6つ厳選してご紹介します。仕事や家事で疲れた心を癒やしてくれる、そんな落語の世界へご案内します。(ネタばれ注意)




目黒のさんま

鷹狩りで目黒に来た殿様は腹が減っていた。そこへ地元の農民が焼いているサンマのいい匂いが流れてくる。食べてみるとこれが殊の外、美味しかった。以来城に戻っても殿様は目黒で食べたサンマの味が忘れられず、家臣にサンマを調達させるが、骨や脂が抜かれているためせっかくの新鮮なサンマが不味くなってしまう。一口食べた殿様は渋い顔をしながら「このサンマはどこから取り寄せたんだ」と聞く。「日本橋魚河岸です」と答えると「それはいかん。サンマは目黒に限る」と、海のない目黒の魚の方がおいしいと言って無知をさらけだしてしまうというオチ。


寿限無(じゅげむ)

子供が生まれた夫婦が、和尚に長生きできる名前をつけてほしいと頼む。和尚はいろいろな名前を提案するが、夫婦はどれも気に入らず、結局全ての言葉を繋げて「じゅげむ、じゅげむ、ごこうのすりきれ、かいじゃりすいぎょの、すいぎょうまつ・うんらいまつ・ふうらいまつ、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポ・パイポ・パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの、ちょうきゅうめいの長助」という、とても長い名前にしてしまう。子供はすくすく育って腕白小僧になる。近所の子供と喧嘩をし、殴られてこぶを作った子供が父親のところに言いつけに来る。やり取りの中で長い名前が繰り返されるうちに、時間がたってこぶが引っ込んでしまうというオチ。


饅頭怖い

饅頭が大好きな人が、自分を怖がらせようとしている若者たちに、わざと「饅頭が怖い」と嘘をつく。若者たちはその言葉を信じてその人に饅頭をたくさんあげてしまう。だまされたことに気づいた若者たちが怒って「本当は何が怖いんだ!」と聞くと、今度は「熱いお茶が怖い」とまた嘘をついて、饅頭を食べたあとでちょうど欲しかったお茶をもらおうとするというオチ。


芝浜 

酒におぼれ仕事もしない男が、芝浜で大金をみつける。でも浮かれて酔っ払ったあと、ぐっすり寝てしまい、起きたらお金がなくなっていたので、「なんだ夢だったのか」とがっかりする。実は女房が彼のことを思って、お金を隠したのだった。そうとは知らない男は、それを機に心を入れ替え真人間になろうと努力する。数年後、女房は真実を打ち明け、久しぶりに酒でもつけようかと聞くと、男は一言、「よそう。また夢になるといけねえ」と言うオチ。


時そば

そば屋さんで、ある男がお金を払うときに「ひい、ふう、みい…」と数えながら、「やあ(八)」まで来た時にわざと「今何時だい?」とわざと尋ね、「九つだ」と店主が答えたあと、「十、十一…」と数え始めて、一文ごまかそうとする。それを横で見ていた別の男も、同じことをしてみるが、お店の人が「やあ(八)」の後、「四つだ」と言うので、五以降を数えてしまい逆に損をしてしまうというオチ。


平林

ある人が、平林(ひらばやし)さんに手紙を届けるよう頼まれる。手紙を持って出かけたものの宛名である「平林」の読み方を忘れてしまい、いろんな人に読み方を聞いてまわることになる。でも、みんな「タイラバヤシ」とか「ヒラリン」「イチハチジュウノモクモク」とか、変なことばかり言うのでますます分からなくなってしまう。困りはてて、怒鳴りながら全部の回答をつなげて歌っていると、通りがかりの知り合いがその手紙はどこに届けるのか尋ねると「はい、ヒラバヤシさんです」と、ちゃんと自分で言えたというオチ。